8才のジンミは模範労働者の両親とともに平壌で暮らしている。ジンミは金日成の生誕記念「太陽節」で披露する舞踊の練習に余念がない。エリートの娘を持った両親は仕事仲間から祝福を浴び、まさに“理想の家族”の姿がそこにはあった。ところがドキュメンタリーの撮影とは名ばかりで、“北朝鮮側の監督”のOKが出るまで一家は繰り返し演技させられ、高級な住まいも、親の職業も、クラスメイトとの会話も、すべて北朝鮮が理想の家族のイメージを作り上げるために仕組んだシナリオだった。疑問を感じたスタッフは、撮影の目的を“真実を映す”ことに切りかえその日から、録画スイッチを入れたままの撮影カメラを放置し、隠し撮りを敢行するが…。
モスクワ・ドキュメンタリー映画祭の会長も務めるヴィタリー・マンスキー監督は、誰もが知りたい疑問を、誰もが見えるかたちで描きたいと考えていた。北朝鮮政府から撮影許可を得るまで二年間、平壌の一般家庭の密着撮影に一年間。その間、台本は当局によって逐一修正され、撮影したフィルムはすぐさま検閲を受けることを強いられたが、検閲を受ける前にフィルムを外部に持ち出すという危険を冒して本作を完成させた。映像にはドキュメンタリーでありながら出演者たちにセリフや笑い声をあげるタイミングなどを細かく指示を出す“ヤラセ”や “ビハインド・ザ・シーン”が数多く盛りこまれている。
自分たちの恥部があらわにされた北朝鮮は、すぐさまロシアに上映禁止を要求した。これを受けてロシア政府は、ヴィタリー・マンスキー監督への非難声明と上映禁止を発表。にもかかわらず、韓国、アメリカ、ドイツ、イタリア、カナダをはじめ20都市以上で上映や公開がなされ、「第40回香港国際映画祭 審査員賞受賞」「サンフランシスコ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞 ノミネート」など数多くの快挙を成し遂げた。
ロシア出身のドキュメンタリー映画の巨匠ヴィタリー・マンスキー監督は1年間、平壌に住む8歳の少女ジンミとともに生活し彼女の家族、友達、隣人を含んだ平壌住民たちの日常生活をカメラにありのまま収めた。製作陣は金日成主席の誕生日であり北朝鮮の最大祝日とされる「太陽節」を準備するジンミの姿を撮影しながら、知らず知らずのうちにジンミの周辺が少しずつ演出されている事実を知り、まるで映画「トゥルーマン・ショー」のように一つの巨大な撮影現場と化した平壌の“リアルな実状”をカメラに収め始めた。
本作は北朝鮮を紹介するジンミの挨拶から始まる。北朝鮮を“朝日が一番早く昇る地球の東側にある美しい国”と紹介するジンミは平壌に住む8才の少女だ。監督ヴィタリー・マンスキーはロシアと北朝鮮政府の支援の下、1年間ジンミとともに生活し彼女の家、隣人、友達をはじめ平壌住民たちの日常生活を見せるドキュメンタリーを撮影しようとする。監督はジンミの家を撮影する過程で知らず知らず黒い背広を着た男たちが彼女の周辺を演出していることを知るようになる。撮影所のようにジンミの家は人が住んでいるとは思えないほど殺風景で、オレンジ色の花が植えた大きな植木鉢と霧吹きは誰かがわざと置いておいたような違和感がある。またキッチンの食器棚には何も入っていなかったと後日談を明らかにした監督は北朝鮮政府の過度な介入と演出過程を目撃し、北朝鮮の要求に反し公式に禁止された撮影映像を映画に含ませ北朝鮮の“リアルな日常”を公開することを決心した。
本作は8才の少女ジンミが朝鮮少年団に入団し金日成の誕生日である「太陽節」の公演を準備する過程を詳しく捉えている。朝鮮少年団は北朝鮮で最も権威ある青少年団体の中の一つで、授業時間には教師の質問に積極的に答え、誰より真面目に「太陽節」を準備する優等生ジンミのような学生たちで構成される。一方、朝鮮少年団に入団したジンミのおかげでジンミの両親は職場で全職員にお祝いを受けることになる。家から職場に撮影地が変更されたことで監督はもう一つの真実を知ることになる。ジンミの父親の職業は本来ジャーナリストであったのだが、北朝鮮当局は撮影のために彼の職業を縫製工場のエンジニアに“変更”したのだ。監督はジンミの父親がエンジニアのように演技するように指示する北朝鮮当局関係者たちのありのままの姿をカメラに収め、さらに彼らがまるで映画の配役を変えるように父親の職業を変えた事実を非常に論理的なことと認識していると明らかにした。乳製品工場の職員を演じたジンミの母親が「私の思想が知りたいなら私が作った製品を見よ!」というスローガンの下に立ち工場長の指示を受けるよう強要される姿も映画の中で見ることができる。撮影中ずっと北朝鮮当局の監視が厳しかったにもかかわらず、監督は撮影前にも密かにカメラの電源を入れたままにしたことで、演出過程を詳しく見ることができたと明らかにした。
北朝鮮では金日成と金正日の誕生日が最大の祝日という。金正日誕生日は2月16日で「光明(クァンミョン)節」と呼ばれ、金日成の誕生日は4月15日で「太陽(テヤン)節」と呼ばれる。劇中ジンミが入団した朝鮮少年団の創立日である6月6日もまた「少年団設立記念日」という祝日と指定されている。
北朝鮮は12年制義務教育だ。ジンミが通う小学校は合計5年の間の修学期間を経る。小学校卒業以後は初級中学校3年、高級中学校3年の義務教育を経ることになる。ジンミが通う小学校の教育過程は国語、英語、数学、理科、音楽の他にも「偉大なる首領金日成大元帥様の幼き頃」「偉大なる指導者金正日元帥様の幼き頃」等の教科目が含まれている。
北朝鮮で住宅は'集団的所有物'なので所有は許されず、国から配分受け賃貸料を支払う方式だ。 住宅等級は職場と職位を基準として5種の類型に分けられており、ジンミが住むアパートの場合、寝室が1~2個にリビングとキッチンがあったことから、ジンミの父親は学校教員や一般労働者に分類され2号住宅の配分を受けたということがわかる。
地域 劇場名 電話番号 公開日
東京 シネマート新宿 03-5369-2831 1/21(土)
札幌 シアターキノ 011-231-9355 上映終了
宮城 フォーラム仙台 022-728-7866 6/24(土)
神奈川 横浜シネマリン 045-341-3180 4/1(土)
埼玉 深谷シネマ 048-551-4592 4/16(土)
山梨 テアトル石和 055-262-4674 2/18(土)
愛知 名演小劇場 052-931-1701 上映終了
大阪 シネマート心斎橋 06-6282-0815 1/21(土)
京都 京都みなみ会館 075-661-3993 3/4(土)
兵庫 神戸アートビレッジセンター 078-512-5500 上映終了
岡山 シネマクレール 086-231-0019 3/18(土)
福岡 KBCシネマ 092-751-4268 3/11(土)